日ごろのお世話 (餌やり・水換え・濾過器の掃除)
 水槽をセットして、魚を入れたら 飼育開始です。
  飼育、と言っても さしあたって やることと言えば 餌をあげることと 水槽の水を換えてあげること、それに濾過器の掃除ぐらいです。
  それ以上のことは、飼育を続ける上で わかってくるものと思いますし、自然と湧いてくる疑問を調べることで少しずつ覚えていけばいいでしょう。特にネットで調べものをする場合、溢れる情報に呑まれないように要注意。
  机上論を積み上げてもロクなことはありません。目の前にある水槽と対話しながら、気楽に自分のやりかたを探っていきましょ。
■■ 餌やり ■■
 市販の餌を買うと、説明書には「3分くらいで食べきる量を 1日2~3回」 などと書かれてるものがありますが、立ち上げたばかりの水槽でそれに従うと、すぐに水が汚れてしまいます。実際には もっとずっと少なくて充分でしょう。
  餌を与え過ぎると  水の汚れが早まるし、水槽が苔まみれになったりもします。魚によっては 際限無く食べ続け、食べ過ぎで調子が悪くなったりもするそうですし、太りぎるとみっともないです。初心者が魚を死なせてしまうのは、餌のやり過ぎによる水質悪化が一番の原因では?と思います。適量がつかめないうちは餌は不安になるぐらい少なめで十分と心得ましょう。

  餌をもりもり食べる魚の姿は、飼い主にとって麻薬のようなもので、どんなに「少なめに!」と言われても、最初のうちは どうしても与え過ぎてしまうものです(私はそうでした、笑)。どうにもこうにもついつい与え過ぎてしまうというのなら、2日に1度とかにしてみるのも良い でしょう。

  尚、あたりまえですが、餌は少なすぎてもいけません。当ページで「餌は少なめ!」を強調しているのは、「はじめての水槽では 餌が少なすぎることによる飢餓よりも、多すぎることによる水質悪化の方が魚の命に関わるだろう」 と思うからです。魚は餌が少なくても即死はしませんが、水が汚れると簡単に死んでしまいます。
  よく観察して、多すぎず少なすぎず・適量を見定めていきたいところです。又、飼育に慣れた人も、今一度給餌量を見直してみてはいかがでしょうか。

 一概には言えないけど、立ち上げ初期の水槽で苔が大量発生するのは概ねエサのやりすぎ・魚多過ぎ。適度な魚の数に適度な量の餌を与えていれば、苔はそれほど発生しないはずです。入れてしまった魚を減らすわけにはいかないので、とりあえず餌の量を減らしてみると吉。

よく「小型水槽は難しい!」 という話をよく耳にしますが、初心者的には、それはエサのやりすぎ(≒魚入れすぎ)のせいだと思うんですよね。個人的には、大きい水槽を薦めたり小さい水槽の難しさを強調したりするよりも、「水槽サイズに合わせた魚の数とえさの量を!」ということが大事だ思います。大きい水槽だって、給仕過多だと上手く飼えませんもの。

 餌は少なくていい、ということの一例として・・・飼い始めて数ヶ月すると、水槽内に微生物が発生してきます。多くの魚はそれを食べますから、入れてる魚の 数が十分に少なく、相応に環境を整えてあげれば、ほとんど給餌不用の水槽も可能のようです。(底砂の掃除をしすぎないのがコツかしらん?)

  我が家では、1ヶ月ぐらい毎にしか餌を入れてない水槽がありますが、それでも中の魚は丸々と肥えてます。その状態が魚にとって最良であると断言はしませんが、参考までに。

  色んな魚を入れてる水槽だと、強い魚が餌を食べちゃって シャイな魚に餌があたらない、なんてことも起こってきます。いくら少なめとはいっても、よく観察し、皆に餌があたるように工夫しましょう。

  他に、意外な盲点として、家族みんなでエサあげちゃって給餌過多、速攻で水質悪化、 という例をよく聞きます。魚の世話はしたくなくても エサだけはあげてみたくなるもんです(笑)。エサは絞ってるはずなのにやたらと水質悪化する、という場合は自分以外の誰かがエサをあげたありしてないか確 認してみて吉。息子が管理してる水槽に手を出してみたくなる親とかけっこういるみたいよ。(笑)




■■ 水換え ■■
 

水槽には大概 フィルター(濾過器)を設置しますが、それだけでは水を綺麗にしきれませんから、時々水を換えてあげましょう。

1、水槽の水を抜く:底砂にまぎれてる汚れを吸いながら、水槽の1/4ぐらいの水を抜きます。
2、バケツなどで水をつくる:先にも書いたように、水道水には塩素が入ってるので、中和剤などで塩素を抜いてやるといいかも。(私はカルキ抜きしてない水道水を水槽に入れてしまうこともしばしばですが)
3、水槽に水を注ぐ:底砂を巻き上げたり水草を抜いたりしないように、そっと注ぎましょう。バケツを持ち上げて 直接注ぐのは ちょっと大変、という人は、お風呂用電動ポンプなどを利用するのも良いでしょう。

 水換えは、一般に「週に1回・水槽の1/4」とされてますが、これは単なる目安ですから、自分の飼い方に合わせて頻度や量を調節すると良いでしょう。その辺は 魚や水槽の状態をよく観察して見定めていってください。(まあ、休日に水換えを となると週1が丁度良いわけですけども)

  60cm以上の水槽になると、女性などにとっては 水換えがちょっと大仕事になるかもしれません。水換えが面倒で 熱帯魚を辞めてしまうという人も少なくないようですから、水槽サイズを選ぶ際には 水換えのことも考えてみましょう。

  定期的な水換えは断じて必要、というのが現在(2003年現在)の主流のようですが、水換えに関しては人それぞれの飼育スタイルによって考え方が微妙に違うようです。魚の数を極少に抑える・適宜水草を植えるなど、環境を整えることができれば ほとんど水換え無しの水槽にすることもできる、という人は結構多く、実際に数年も換水してないと言う実例も少なくないようです(いわゆる 水草水槽の場合などですね)。興味がある人は適宜調べてみて、水換え無し水槽を目指してみるのも楽しいかもしれません。
とはいえ、その辺よくわからんという初心の間はとりあえず 定期的にきちんと水換えした方が無難なのかな。魚の様子をよーく観察しながら、追々水換えしなくてもいい期間をドキドキしながら推し量っていってみましょう(笑)。

  魚は、急激な水温低下に弱いです。冬季など、水道水の水温が低い場合は、お湯などで水槽の温度に近づけてあげましょう。予備のヒーターを用意して 水を温めてあげるのも良いでしょう。

  ヒーターを縦に設置している場合、水を抜いたあと ヒーターが空気中に顔を出さないように注意。


■■ 濾過器のそうじ ■■
  最初に紹介した外掛け濾過器は、付属の濾過マットを交換するだけでいいので とっても手軽です(数個パックで買っちゃいましょう)。説明書によると「2週間で交換」ってことになってますが、水槽の様子を見て 調節しましょう。 水槽設置直後2ヶ月間ぐらいは 短めで交換してもよいかもしれません。

  又、飼育を続けていくうちに、 他の濾過装置も試してみたくなるかもしれません。外掛け濾過器はパックを交換し続けることになりますから、おこずかいに響きますものね。
  マットやスポンジで濾過するタイプのものは、そこに「濾過バクテリア」というものが繁殖しています。コレは水質を安定させるために一役買ってる微生物らしいですから、優しく洗ってあげるのが良いでしょう。
  濾過バクテリア君は 魚以上に 水温や水質の変化に弱いです。水道水などでは洗わず、バケツなどに 水槽の水をとって、その中で優しく揉み洗いが吉です。

  「濾過バクテリア(生物濾過)」に関しては ちょっとややこしいので説明を省略します。けっこう重要だったりもするので、興味のある方はこちらをドーゾ。

  個人的には、外掛けフィルターは 工夫次第で色々使いまわせる濾過器と思います。一応、物理濾過が主ですが、生物濾過ができるように 自分で手を加えるのも簡単です(商品によっては 用途に合わせて色々なカートリッジを装着できるタイプのものもあります)。又、水が白濁してしまった時など臨時のフィルターとしても使いやすいでしょう。

  濾過器ごとに一長一短があり、個人的な好みの部分も大きいですから、端的にどれが勧めかというのは言い難いです。当ページは全く初めての人に向けたものな ので、とりあえず安価で手軽な濾過器として外掛け式をおすすめしてたりしますが、全くはじめての人が長所短所を踏まえて使用できるとも思えないので、(絶 対的な欠点がある濾過器も無いですから)まあ どれを使っても大差ない気もします。
  …と言ってしまうのも乱暴な話ですが、まずは直感でチョイス、実際にしばらく使ってみて長所短所を実感して、その上で短所部分が気になるようなら別のタイプのものを試してみる、という感じで良いかと思います。
  飼育を続けてると、なんだかんだと色々試したくなるものです。実際に色々使ってみて好みのものを探っていく、ぐらいの腹積づもりが吉?
 最後に・「何はともあれ楽しまなくちゃね!」
 

ここまで読んでしまったら、とりあえず飼育をスタートできると思うんですがいかがでしょう。

  熱帯魚は飼い方を人に教えたくなる趣味なのか、これほど手取り足取り飼い方が指南されてる趣味もありません。初心者の疑問は、ネットなどを真剣に 調べれば、回答(もしくはヒント)は絶対見つかります。・・・ええ、「絶対」と言い切れるでしょう。

  ですが、そういった回答やヒント(もちろん、当ページに書いてることも含む)は、飼い方のほんの一例であり、従わなきゃ飼えない、というものではありません。先人の意見を色々参考にすることはいいことですが、知識に振回されたってつまらないですよね?
  あたまでっかちにならずに、もう、とりあえず飼いはじめてみて、必要に応じて色々調べ、それらを適度に参考にし、適度に省略し、充分に自分流アレンジを加えて自由に楽しんでみてくださいませ。
  正しい飼い方なんてありません。既成概念や通説に囚われるこたぁありません、目指すは 人それぞれの「楽しい飼い方」ですよね。どんな楽しみ方が自分に合ってるかは、とにかく実際に飼い始めてみないことにはわかりますまい。自分が楽しいと思 えれば その飼い方がいちばんですよ。
  気軽に楽しくいきまっしょい。

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